第25話

「バーンズリーボーイズ」


イングランドDiv1リーグ。プレミアリーグへの昇格を賭けて、白熱した戦いも遂に幕を閉じた。
そして、その結果を知っても未だに認めようとしない2人のイギリス人もいた。
遠く離れたこの日本で。

彼らは貪るように酒を飲み、悪態をつく。
W杯前のフーリガンの先行来日か?と疑われんばかりに、港区を練り歩く。
麻布警察の警備は、おかけでレベル4の厳戒体制になったとか。
何もかもがコイツらのせいだ!
荒れ狂うその男達の名は、御存じニックとアラン。

シーズンの終盤、昇格請け負い人としてガスコインはエバートンを後にした。
その向かった先は、Div1の「バーンリー」というチーム。
最終節までもつれた結果、惜しくもバーンリーは昇格を逃してしまう。
彼1人の力ではフットボールは勝てない、これが現実だ。

そして我らが「バーンズリー」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

最終節を待たずして降格が決まった・・・・・・・・・・・・・・・・。

カタカナにすると『ズ』という、たった一文字が入っているかいないかで、こうも成績が違ってくるものか。
姓名判断の名士なら、いったい何と助言してくれるのだろう。
とにもかくにも・・・・・・・・。
もう一度ハッキリと言おう!

『バーンズリーFCは降格いたしましたっ。』

ベッカムが骨折したからじゃない!女王が天国に召されたからでもない!
来シーズンはDiv2で戦わなければいけない!その現実が許せないのだ。
23位と低迷が続いていたタイクスは、ナイジェル・スペックマン監督を更迭した。
そこにやって来たステーィヴ・パーキン監督。彼の手腕で一気に降格圏を脱したというのに。
一時はあのイアン・ラッシュを臨時コーチに迎えてまで頑張ったっていうのに。結果は最終的に23位。
ストックポート(24位)に道連れにされ、おまけにシェフィールド・ウェンズデーは13位でシーズンを終えている。
こんなにも、理不尽な事が許されるのだろうか?
バーンズリーで生まれ育った者だけが痛感する、ドーバー海峡よりも深い哀しみ。

男達はさんざん酒を煽った後、東京の街をフラついた。そして一軒のCDショップヘと立ち寄る。
手に取ったのは、エルビス・コステロのアルバムだった。
約8年振りに発売されたそれは、コステロが時間をかけて作り上げたシンプルなロックだったのだ。

『フットボールのリズムって、ロックなんだよ』

酔ったニックは、照れくさそうに言う事がある。
負けるのは悔しいけれど、勝つことだけが全てじゃない。

『おかげで、また楽しみが増えたよ。』

焦る必要なんてない、時間をかけて本当に強くなってDiv1へ。そしてプレミアへ昇格すればいいんだ。
ちなみに最終節、バーンズリーはアウェイでウィンブルドンを1ー0で敗り意地をみせた。
忘れていた何かを思い出したニックとアラン。そして2人して、大声で歌ったらしい。

『We  All  Follow  The Barnsley !

Hello!  Hello!

We Are The Barnsley Boys!』